目次
東京2020パラリンピック 車いすラグビーの日程
競技スケジュール
2021年8月25日(水)〜29日(日)
- 8月25日〜27日 グループA・B予選
- 8月28日 準決勝、7-8位決定戦、5-6位決定戦
- 8月29日 決勝、3位決定戦
車いすラグビーの競技概要・魅力
<競技概要>
車いすラグビーは、車いす競技の中で唯一、タックルが認められている男女混合の競技。激しいぶつかり合いと緻密な戦術が醍醐味である。バスケットボールと同じ広さのコートで、専用の車いすに乗った選手が4対4で対戦する。専用の丸いボールを運び、車いすの前後4輪のうち、2輪がトライラインを通過するとトライとなる。
四肢に障がいのある選手を対象とし、選手ごとに、障がいの程度の重い方から順に0.5点から3.5点まで0.5点刻みで「持ち点」が与えられている。1チームの持ち点の合計は8点以内で編成しなければならず、それぞれの持ち点で攻撃と守備の役割分担が明確になっているため、チームの戦術が見どころだ。
<競技の魅力>
大迫力の激しいタックルと緻密な戦略が見どころの球技
車いすラグビーの大きな特徴は持ち点制で、選手は障がいの程度に応じ、重いほうから順に0.5点から3.5点まで0.5点刻みで7クラスに分類されている。1チームは12名で、コート上の4選手の持ち点の合計を8点以内でチーム編成しなければならない。実は、男女混合の競技で、女子選手が出場するときは1人につき0.5点の追加点が与えられる。もし、女子2名が含まれれば、チームの持ち点合計は9.0点で編成できる(最大4名10点まで)。
持ち点制のルールにより、障がいの軽く運動能力の高い選手(ハイポインター)だけでなく、重い選手(ローポインター)にも出場チャンスが生まれる。ハイポインターは機敏に動き、主に攻撃的な役割を担当し、ローポインターは防御的な役割を担い、相手ディフェンスを車いすで止めてハイポインターのために進路をつくるなど、チーム一丸でトライを取りにいく。
競技用車いすにも2種類あり、役割分担がある程度分かるようになっている。攻撃型の車いすは相手の守備をかいくぐり、狭いスペースでも機敏に動けるよう凹凸がなく、主にハイポインターが使用する。防御型の車いすは前部に長いバンパーが突き出しており、相手の車いすにぶつけたり引っ掛けたりして相手の動きを止めるのに使う。主にローポインターが使用する。ハイポインターが華麗な車いす操作(チェアーワーク)で得点を重ねる影で、ローポインターの献身的な動きがある。また、ハイポインターの動きをローポインターが果敢なタックルで阻止するシーンも必見だ。
ラグビーといっても、前方へのパスは認められている。足で蹴る以外はボールを投げたり手で打つことでパスをしたり、膝の上にボールを載せたりして巧みに運んでいく。ただし、膝に乗せて運ぶときは10秒に1度、ドリブルをするか、パスをしなければならない。
1試合は8分間のピリオドを4回繰り返す。バスケットボールのようにプレイのタイム制限がある。たとえば、攻撃側が40秒以内にゴールしないと相手にボールの所有権が移る40秒ルールや、ボールを持ってから12秒以内にセンターラインを越えなければならない12秒ルールなどがある。スピーディーなボール展開が必要であり、時間管理も勝敗の重要な要素だ。
タイムアウトもベンチ側から2回、コートの選手から4回までコールできる。ピンチのときに戦況打開のきっかけにすることもでき、どのタイミングでコールするかもチーム戦略の一つとなる。試合終了間際の行き詰まる局面で、一つのタイムアウトが逆転のきっかけになることもある。
見どころは、車いす競技のなかで唯一、ルールとして認められている、車いすでのタックルだ。大音響が響き渡り、勢い余って車いすが転倒するなど迫力満点。タイヤのパンクは頻繁におきる。ただし、車いすの後方からぶつかるなど危険なタックルは反則となる。ボール以外に、相手の身体や車いすに触れたり押さえつけたりすることも禁止で、そうしたファウルを犯した選手は1分間、または相手がトライを決めるまでペナルティーボックスに入らければならない。
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今大会の車いすラグビーの見どころは?
初めての金メダルを目指して 東京パラリンピックに挑む
車いすラグビーの日本代表は前回のリオデジャネイロ大会でパラリンピックで初めてのメダルとなる銅メダルを獲得しました。自国開催の今大会では初の金メダルをめざします。
車いすラグビーは「マーダーボール」とも呼ばれ、激しい接触プレーが魅力です。男女混合の競技で手足などに障害がある選手が1チーム4人で戦います。
タックルは時に車いすが浮くほどの衝撃でラグビーと言いながら前にパスすることもできます。ボールを持った選手がゴールラインを越えると1点となります。
選手は障害の程度によって0.5から3.5まで7段階にクラス分けされていてコート上の4人の合計を8点以内にとどめる必要があります。女性選手は1人入るにつき、持ち点の上限が0.5加えられます。
日本代表選手(12人)
倉橋香衣、長谷川勇基、今井友明、乗松聖也、小川仁士、若山英史、中町俊耶、羽賀理之、池透暢、橋本勝也、島川慎一、池崎大輔
倉橋選手は、車いすラグビーで初めて女性選手としてパラリンピックに出場します。障害が最も重いクラスですが、相手の動きを先読みしたブロックや味方の進路を確保するためのポジション取りのうまさに定評があります。派手さはないものの、縁の下の力持ちとして攻守でチームを支える倉橋選手のプレーに注目です。
そして、日本の最大の強みは「ハイポインター」と呼ばれる障害が軽いクラスに世界トップレベルの選手が複数いることです。いずれも3点のクラスで池選手、池崎選手、島川選手の3人はリオデジャネイロ大会での銅メダル獲得の原動力となりました。正確なパスで攻撃を組み立てることが得意な池選手に圧倒的な突破力で得点を量産する池崎選手。島川選手は3人の中で最も経験が豊富です。日本は強豪相手にも、この3人を交互に投入することで、どの時間帯でも高い得点力を保てます。
最大のライバルはオーストラリア
世界ランキング3位の日本にとって最大のライバルになるのが世界1位のオーストラリアです。世界ナンバーワンの呼び声高いライリー・バット選手を擁してリオデジャネイロでパラリンピック2連覇を果たしました。
日本は3年前の世界選手権で、そのオーストラリアに勝って初優勝を果たしましたが、2年前(2019年)の国際大会では惜敗するなど、常に競り合っている状況です。その後、守備でのフォーメーションやセットプレーなど細かい連係の強化を続けてきた日本。宿敵を攻略して初の金メダルを獲得できるか注目です。
グループA予選 日本 vs. フランス
2021年8月25日(水)20時〜
テレビ放送
- 中継 8月25日 19時30分〜[NHK総合]
結果 日本 53 – 51 フランス
東京パラリンピック、車いすラグビーの予選リーグの初戦で、日本はフランスに53対51で勝ちました。
日本は序盤、パスをカットされていきなり2点を連続で奪われるとその後もミスが相次いで、リードを許す苦しい展開となりました。ただ、その後はキャプテンの池透暢選手の正確なパスを起点に得点を重ねながら逆転のチャンスをうかがいました。
そして、最終の第4ピリオドに粘り強い守備で相手にパスをさせずに反則を誘うなど残り3分余りで逆転に成功するとその後はリードを守って53対51で逆転勝ちました。
グループA予選 日本 vs. デンマーク
2021年8月26日(木)14時〜
テレビ放送
- 中継 8月26日 13時20分〜[NHK総合]
結果 日本 60 – 51 デンマーク
日本はエースの池崎大輔選手が第1ピリオドから相手のパスをカットするなど積極的な守備で序盤からリードを広げました。
第2ピリオドにはゴール近くの「キーエリア」を固める相手の守備に苦しめられて一時追いつかれますが、池崎選手とキャプテンの池透暢選手を中心に再び相手のパスを奪うなど堅い守備から巻き返し、30対26と4点差をつけて後半に入りました。
日本は後半に入っても池崎選手が突破力を生かした得意の「ラン」でチーム最多の24得点をマークするなど、終始、主導権を渡さず、60対51で勝ちました。
グループA予選 日本 vs. オーストラリア
2021年8月27日(金)14時〜
テレビ放送
- 中継 8月27日 13時15分〜[NHK総合]
結果 日本 57 – 53 オーストラリア
東京パラリンピック、車いすラグビーの日本代表は予選リーグ最終戦で世界ランキング1位のオーストラリアに57対53で勝ちました。日本は予選リーグ全勝でグループAの1位で準決勝進出を決めました。
日本は第1ピリオド(P)から得意の「好守速攻」で得点を重ねた。鉄壁の防御から相手のミスを誘い、ボールを奪取。トライゲッターの池崎大輔(43=三菱商事)らがトライを奪い、前半を29-27で折り返した。後半は代表唯一の女性で“守備職人”の倉橋香衣(かえ、30=商船三井)が出場し、王者相手に一歩も引かず4点差で勝負を決めた。
準決勝 日本 vs. イギリス
2021年8月28日(土)14時15分〜
テレビ放送
- 中継 8月28日 [NHK総合]
結果 日本 49 – 55 イギリス
東京パラリンピックの車いすラグビーの準決勝が国立代々木競技場で行われ、日本はイギリスと対戦しましたが49対55でイギリスに敗れました。
第1ピリオド終了。10-11で英国がリード。両チーム合わせて6つのターンオーバーが発生した第1ピリオド。日本は今井が3つのトライを奪うも、英国の積極的な守備に押され1点ビハインドで第1ピリオドを終えた。
第2ピリオド終了。23-25で英国がリード。第2ピリオド開始直後にターンオーバから追加点を奪われた日本は、終了のブザーと同時に最後のトライも決められてしまい、2点のリードを許して試合を折り返した。悲願の金メダルに向けて、後半の巻き返しに期待したい。
第3ピリオド終了。33-42で英国がリード。点差を詰めたい日本だが、焦りと英国の強烈なプレッシャーを前にミスが重なり、8個のターンオーバーを取られ17失点。リードが広がってしまった。
試合全体を通して英国の激しい守備を前に攻めきれなかった日本は、計15個ものターンオーバーを許してしまった。特にパスやキャッチのミスが目立ち、守備でも英国のスピードを武器にした速攻から得点を量産されてしまった。第2ピリオド終了間際に、最後のトライを奪われてしまったことも大きかった。第4ピリオドには池崎や橋本を中心に猛攻を見せたが、逆転には及ばず悔しい敗戦となった。英国が初めてのメダル獲得を確定させ喜びを爆発させる一方、日本の金メダルへの夢は準決勝で途絶えてしまった。
3位決定戦 日本 vs. オーストラリア
2021年8月29日(日)14時〜
テレビ放送
- 中継 8月29日 [Eテレ]
結果 日本 60 – 52 オーストラリア
東京パラリンピック、車いすラグビーの日本代表は3位決定戦でオーストラリアと対戦し、60対52で勝って、2大会連続で銅メダルを獲得しました。
日本は前半、堅い守備で次々と相手のパスを奪い、30対25と5点差をつけました。さらに後半も守備から相手のミスを誘い、エースの池崎大輔選手が次々と得点を重ねたほか、「ローポインター」と呼ばれる障害が重いクラスの乗松聖矢選手も4つのトライを決めるなど、その後もリードを広げました。
日本は60対52でオーストラリアに快勝し、2大会連続で銅メダルを獲得しました。
終了した試合(テレビ中継)の動画を見る方法
東京2020パラリンピック[車いすラグビー]の日本代表チームの対戦は、NHK総合やEテレで放送された後、1週間は「NHKプラス」で視聴することができます。ただし、NHKプラスはNHK総合テレビ・Eテレの放送番組が対象となっており、BS放送の番組は配信されませんのでご留意ください。
また、NHKプラスの五輪特設サイト「東京2020オリンピック・パラリンピック」では、一部の試合のライブ配信やハイライト動画が配信される予定です。
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